短編[BL]
□世界は妄想
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「じゃぁ、しんちゃんと同じお墓に入りたい」
「それも駄目」
「じゃぁ、…」
「ネネちゃん」
何だったらいい?どんなことだったら許してくれる?ねぇ、しんちゃん。
ぎゅ、と握ったしんちゃんの指先を捕らえ携帯が鳴り響いた。
「あ、ごめん電話」
「……っ、彼女?」
「…ん、ちょっとごめんね、ネネちゃん」
しんちゃんは、ネネを抱き抱えボタンを押した。
今度の彼女は女子大生。その前は教師。その前は3年生、社会人。
「ホイホイ?」
しんちゃんは柔らかい口調で、ネネの知らない大人の顔をしていた。
電話から少し筒抜けの女性の声。可愛い声の人。
しんちゃんの首に抱きついてしんちゃんの首筋に唇を押し付けた。
「ッ、う」
しんちゃんの背筋がビクッとなって「何でもない」と喋りだす。
電話の向こう。「今から会いたい」という女性の単語が聞えてきた。
「…今から?」
「しんちゃん行ってもいいよ、ネネなら大丈夫」
電話の向こうでは「駄目?」と言う愛らしい声がネネの耳を駆け抜ける。
ごめんね、しんちゃん独占して。ごめんね、さっきは悪戯して。
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