短編[BL]
□方程式はマイナス
2ページ/6ページ
「風間くん、シェークスピアが…お好きですの」
「え、?」
「A rose by any other name would smell as sweet.ですわ」
「ああ、シェークスピアの名言だからね好きだよ。あいちゃんは?」
「あいも好きですわ」
「薔薇はどんな名前で呼んでもよい香りがする」
酢乙女の言葉に続き風間はゆっくりと瞼を閉じた
「いい言葉ですわ」
「実はこれロミオとジュリエットを読んでから好きになったんだ」
「そうですの?」
「おおロミオ!どうしてあなたはロミオなのって場面知ってる?」
教室のドアを開け
風間は長い指で荷物を置いていく。窓からは涼しい風が吹いた。
「ええ、確か…ロミオという名をお捨てになるのですわよね」
「うん、でも名前を捨ててもロミオはロミオ、薔薇は薔薇」
ジュリエットの苦悩はその存在がある限り続いていくのだ。
そう思うと何だか風間には自分のようで読んではいられなかった。
「あら?でも、あいはしん様がしん様ならそれで十分ですわ」
「あいちゃんらしい。じゃぁボクはもう行くよ」
「ありがとう風間」
.