短編[BL]

□冬よララバイ
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マサ→風しん+ネネ



最初で最後

誰かの幸せを願うのは

冬よララバイ


「ネネちゃん、しんちゃんいる?悪いんだけど呼んでくれないかな」

「バカおにぎりがしんちゃんに何のようかしら」


ガラッと開いた教室の扉、そこから通る風は冷たくて生暖かい。

まるで2人の温度差のようにクラスを包みこむ。


「やだな、ネネちゃん。もうボクはおにぎりでも握り飯でもないよ」

ボク、なんて似合わないマサオの風格にネネは深い溜息を吐き捨てた。

確かに、もう握り飯でもなければ、イジメられっ子のマサオではない。

身体も防衛隊の中では一番、鍛えているだろうし喧嘩も慣れている。

だけど優しい部分だけは健在で、将来の夢は今も漫画家らしい。


「しんちゃんなら屋上…しんちゃんに会いに行くの?マサオくん」

「うん、そのつもりなんだけど…どうかした」

「ネネは今から移動教室だからしんちゃんにコレ渡しておいて」


本当はネネが持っていくつもりだったんだけど、そう言ってネネは自分の上着を差し出した。

「上着?」

「まだ外、寒いでしょ…多分しんちゃん屋上で寝てると思うから」

受け取った小さな上着。甘い香水の匂いが、ネネちゃんらしい。

「これ、もしかしてネネちゃんの上着?」

「そうよ?あ、しんちゃんに午後の授業は体育だよって言っておいて」

「わかった」

「それと、マサオくん…喧嘩するのもいいけど無茶は駄目よ」

昔、イジメられっ子だったマサオが喧嘩を覚えたのは誰よりも早かった。

元々、一度スイッチが入ると気弱な性格が逆転することがあったのも原因かもしれないが。

それを嫌だと思ったことはない。なるべくして今の自分になったのだ。

(…ほんと、ネネちゃんには心配ばかりかけるな)

マサオは掴んだ上着を優しく持ち直した。

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