短編[BL]
□冬よララバイ
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「おーい、マサオ!今から遊び行かねぇか」
長い廊下を歩き屋上の階段に辿り着いたとき友人に声をかけられたがそんなのは後回し。
「ボクはいいよ」
「なんだ?真面目に授業にでも出るつもりかよ」
「…どうかな」
はやく、しんちゃんに会いたいボクは友人の言葉など頭には入っていなかった。
苦笑いで、その場を後にすると屋上の扉をゆっくりとひらく。
「しんちゃん?」
「………………」
背後から聞える友人の声を受け流し屋上を見渡す
1番、日当たりのいい場所でしんちゃんは幸せそうに眠っていた。
「…しんちゃんは…みんなに愛されてるね」
「………ん、」
ネネちゃんから預かった上着をしんちゃんの膝にかけ頭を撫でる。
優しく優しく、その動作に心を許したのか小さな声が口から漏れた。
「…しんちゃん」
可愛い寝顔。幼稚園のときから見慣れた寝顔の筈なのに…不思議だ。
今はすごく抱しめたくなってしまう。卑怯で残酷な、しんちゃん。
「んん、あれ?マサ…オくん…?どしたの」
「あ、ごめん…起しちゃった?まだ寝ててもいいよ…しんちゃん」
しんちゃんの隣に座り、しんちゃんの瞼を優しく閉じてあげる。
(まだ眠ってて。まだ起きないで。優しい夢をずっと見ていて)
「…ん、マサオくん」
「なに?しんちゃん」
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