短編[BL]
□cry for the MOON
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ひま→しん→なな
-02-
「長続きするたった一つの愛」それをひまは知りたかったんだよ。
cry for the MOON
何があっても慰めてなんてやらない、そう決心したその翌日の話し。
「ななこさんが結婚する」という話を耳にした。
「ひまわり、お風呂先に入っちゃいなさい」
「はーい…しんのすけは?まだ帰ってないの」
みさえの言葉に耳をかたむけ観ていたテレビから視線だけを合わす。
ここ何日か無断外泊の多い自由奔放な兄に、母は怒っているようだ。
「ったく、しんのすけの奴…帰ってきたらタダじゃおかないんだから」
「…ななこさんの結婚式ブチ壊す計画でも立ててるんじゃない?」
「ん?」
「…ううん何でもない。それより先にシロの散歩に行ってくる」
やばいやばい
母に聞かれていなかったことに笑顔を浮かべ玄関の戸をあけた。
その瞬間、
「ただいまーがりんはねおそふと…ん?ひま」
「…お帰り、しんのすけ…お母さん怒ってるよ」
「うわ母ちゃ!」響く兄の叫び声と「しんのすけ!」って怒る母の声。
ひまの背後ではまさに小さな戦争。っていうか驚き過ぎて声が出ない。
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