短編[BL]
□cry for the MOON
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ひま→しん→なな
-01-
「長続きするたった一つの愛」それを兄は知りたがっていた。
cry for the MOON
「野原、好きだ」
「ごめんなさい」
ひまのタイプじゃない、そう続いた言葉に男はグッと息を飲む。
「じゃ、じゃぁどんな男だったらいいんだよ」
「容姿端麗、スポーツ万能…バカでお調子者」
「……それって野原の兄ちゃんみたいじゃん」
「…そう?」
数々の伝説を残し卒業した今も先生を悩ませる非常識な兄。
バカみたいな伝説しかないけれど誰にも真似できないことばかり。
それだけ目立つ兄だったから喧嘩を売られることもあったらしいけど。
それでも相手が降参するばかりで話しにならなかったらしい。
ネネちゃん曰く、ひまの兄は無敵でナンパ野郎。
それに気付いていない兄はとても鈍感だと思う。
「ひまわり」
「…美憂?」
はぁはぁ、と駆け足でひまわりの肩を叩く友人。
幼稚園からの顔馴染みである彼女にひまわりは柔らかい笑みを浮かべた。
「あんたの、お兄ちゃんが校門前まで来てる」
「え?何で!」
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