短編[BL]

□cry for the MOON
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まだ学校が終わる時間じゃない。まだ昼休みだ。

そんな時間に兄が中学校に何の用があるのだろうか。あー…もう!


「しんのすけ!」

「お、ひまわり」


しんのすけを囲むメス猫を邪魔だ!と言いつつ息をととのえる。

ひまわりの登場に周りの女子生徒はチッと舌打ちして去っていった。



「…ひま、そんな走ってこなくても良かったゾ」

「はぁ…っはぁ!うるさい…それより何の用事」


兄が年下に興味がないと分かっていても、落ち着いてはいられない。

ひまって健気!



「ひーまー…そんな怖い顔しないの。可愛い顔が台無しになるから」

「っ、むぐ!」


しんのすけの大きな手がひまわりの唇、そして頬を優しく撫でた。

時折、感じる淡い違和感とどうしょうもない熱の高さに心臓は爆発。



「ひま、早退してきなさい…お兄ちゃんの命令」

「…何言って」



教室にはカバンだってそのままだし、その前に制服でどこに?

いやいや、そもそも「早退します」「そうですか」ってなる筈がない。




「っちょ!しんの」

「行くぞ!ひま!」


いつだって強引

思ったらそのまま行動するのが兄だったのを今更ながらに思い出す。



校庭からは教師の声と数人の女子の叫び声、まるでアンコール!



「しんのすけ!ちょっと止っ…はぁはぁ!」

「お兄様って呼んだら止ってあげるぞ、ひま」



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