短編3[BL]

□秘密
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「部活ならしてるぞ。あ、ネネちゃんそこは代入して(8-2x)^2+(4-2y)^2=4だぞ」

「ネネより賢いしんちゃってズルイ。…それで部活って?」

「うん、帰宅部」

「……聞いたネネが馬鹿だったわ」

深いため息を吐きつつ、シャーペンを走らせるネネちゃんの指先は夕日に染まって綺麗だ。

その白い手に噛みついたら一体どんな表情をするだろうか。幼馴染なのに、肝心な部分は未だ未知の領域である。

ネネちゃんのことなら誰よりも理解しているつもりだったけれど、知らないことの方がやっぱり多いんだろう。


「ネネちゃんこそ部活はいいの?」

「顧問の先生が腹痛で倒れたのよ」

「ほうほう。それは残念ですな」

「でも、もうすぐテストだし勉強できて良かったわ」

「そこは俺と一緒にお勉強できて嬉しいわ〜だぞ。ネネちゃん」

「そんなこと言われて嬉しいの、しんちゃん」

「男のマロンだぞ」

「男のロマンね。それに本気で口説く気がないくせに冗談いわないで」

暖房の消えた肌寒い教室で隣同士に座ったネネちゃんの顔を覗きこむと珍しく震えているのが分かった。

寒いのだろうか、と肩に回そうとした手を引っ込める。

壁に掛かった時計がゆっくりと時を刻むように俺の視線はネネちゃんの小指に止まったからだ。

以前、彼氏から貰ったと嬉しそうに教えてくれたピンキーリングがキラリと威嚇する。


「…やだなぁ、俺だって彼氏いる相手を口説くわけないでしょ」

「ネネに彼氏がいてもいなくても、そんなことしないくせに」

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