短編2[BL]

□呪った神に説いてみる
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「しんちゃんが」

「ほいほい?」

「…男の子と付き合ってる…って本当?」

言ってから後悔しているボクと、それを訊いて驚いているネネちゃんとボーちゃんに、しんちゃんが我慢しきれないというように吹き出した。


「…ふっ、付き合ってないぞ。けど告白はされた」

「それだけじゃないでしょ、しんちゃん」

「ああ、キスはしたぞ。でも本当にそれだけ、キスだけ」

「どうして」と自分でも驚くほど低い声に、しんちゃんは「どうしてかなぁ」と困った顔をした。

哺乳類に愛される。それは当然、犬や猫。動物には一目で懐かれる君が人間に好かれないことの方がおかしいけれど。

(けど、だからってキスをする必要性がボクには分からない)


「最後に一度だけだって、泣いて告白されたら断れないぞ」

「だからってそこまでしなくても…っしんちゃんは考え無しなんだよ!」

「…マサオ君」

だんだんと苛立って大きくなる自分の声に気づき、慌てて言葉を途中で切った。ごめんと呟くと、しんちゃんは小さく頷いてくれたけど心中は複雑だろう。

不意に何かが近づいてきた気配がしたと思ったら、ぎこちなくボクの頭を撫でる、しんちゃんと目が合った。


「俺の為に怒ってくれて、嬉しいぞ」

「…そんなこと」

「俺のこと心配してくれたんでしょ?ありがとう、マサオくん」


慰めるためなのか、唐突に浮かんだ言葉が頭の中を埋め尽くす。しんちゃんが好きだから。君が他人に触れられるのが嫌なだけなんだ。

それが同じ男なら尚更タチが悪い。女の人ならいい、だってボクは一生どうしたって君の理想にはなれないから。でも男は駄目だ。そんなの耐えられない。


「マサオ君、また俺が間違ったことしたら今日みたいに怒っていいぞ」

「…しんちゃん」

何とか、ごまかしたくて笑いながら軽く応えると、しんちゃんはまたボクの頭を優しく撫でてくれた。

君は哺乳類に愛される。だから、それが故にボクにも愛される。…これってさ、やっぱり不毛で矛盾かな。神様。

end.
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