短編2[BL]

□SS
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しん風



どんどん好きになりそうで怖い、嫌いだ。それでも傍にいたい、と風間君はよくそんな我儘を言う。とんだ臆病者で正直者。

(でも、そんなところが可愛いって思っちゃう俺はきっと風間君を愛している)


「好きだぞ」

「お前が言うと嘘っぽい」

「酷いぞ。俺はいつも真剣なのに」

「…お前の言葉は信じられないんだよ」

俺を遠ざける言葉は幾数万と所持しているくせに、こんなとき自分がどんな顔をして俺を受け止めたらいいのか分からないでいる。

頭が良いのに、どうして恋愛になるとこうも不器用になってしまうのだろうか。


「おバカだなぁ」

「しんのすけに言われたくない」

「トオルちゃんは頑固ね〜」


「ママの真似をするな」

「…好きだぞ。愛してるぞ」

「僕はお前が嫌いだ…でも離れるなよ、しんのすけ」

「我儘ですなぁ」


臆病者で正直者で、それでいて滑稽なくらい恋には不器用な風間君が俺は好き。



end.
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