ちびまる子/他短編

□親友の初恋
2ページ/2ページ




「もし、俺がさくらのこと好きだって言ったら大野はどうすんだよ」

「奪うな」

「…躊躇ねぇな。ま、俺はさくらのことそんな対象にはみてないから安心していいぞ」

「ああ、杉山には穂波がいるもんな。俺も穂波はそんな対象じゃないから安心しろよ」

「そうしてくれると助かるぜ…っと、大野?」

信号が赤から青に変わる瞬間、いっそう頬を緩ませた大野に俺は不意に視線を上向かせる。

いきなり走り出した大野に驚いて大野の視線を追うとその先には、さくらがいた。


「まる子!」

「大野君、どうしたのさ。大野君も買い物にきたの?」

「おお、お前は?」

「たまちゃんと遊んだ帰りだよ」

「…もう帰るだけなら家まで送る。ついでにちょっと付き合え」

「ええ!ちょっとあんた杉山君はどうすんのさ」

こちらに背中を向けているので表情は見えないけれど、俺の親友が嬉しそうに笑っているのが分かった。

(さくら、おまえすげーよ。あの大野が女の前でそんな顔すんの、お前だからだぜ?そこんとこ自覚しろよ)


「あー、俺は寄るとこがあるから、さくらは大野と帰れよ。じゃーな大野」

「おう、悪ぃな杉山」

「ちょ!ちょっと杉山くんってば」

まだ後ろで何か声が聞こえるが、まぁ無視だな。邪魔したら俺が大野に怒られるっての。

ちょっと進んだところで振り返ると大野の手が少し乱暴に、さくらの頭を撫でている。けど、すげー嬉しそう。

「親友。お前が恋に落ちる日が来るとは予想外だったぜ」

…けど幸せにな。


end.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ