短編2[BL]
□悲愴する愛に
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!ワンクッション!
※一部、性描写を含みます。
高校生含む実年齢18歳未満の方は閲覧をおやめ下さい。
妬いて焦がれて、飽き尽くす。
そんな片手では足りない愛の言葉に目眩がした。
「ボーちゃん」
「しん、ちゃん…好き、しんちゃんが…好き」
「…俺もだぞ」
舌っ足らずな、ボーちゃんの甘い声。
普段からは想像できないくらい肉食的な瞳をしているくせに。
俺を抱きしめる両腕だけは、まるで母体のように優しく感じられた。
(いや男相手に母体も何もない。ボーちゃんの身体が女の子みたいにぷにぷにと柔らかいわけじゃないけど、でも)
「だったら…どう、して…っ浮気…する、の」
「ごめんね?俺が本当に好きなのは、ボーちゃんだけだから」
「もう…他の誰かに…触らせない、で…しんちゃんは…ボクの、だから」
「うん、分かったぞ。ボーちゃん」
ボーちゃんは俺をベッドに組み敷くと、ボロボロと泣いていた。
(…ああ、男前が台無しだぞ。いや、ボーちゃんなら涙のひとつやふたつ、お似合いか)
「しんちゃん、なに、考えてるの…駄目、余所見…しない、で」
「して…ないぞ…んっ、ボーちゃんそこ…やだ汚いぞ、ボーちゃん」
「どうして?しんちゃんの身体は全部、綺麗。平気。全部、好き」
ボーちゃんは俺の唇から爪の先までも愛撫のように丁寧に舌を這わせ綺麗に、微笑んだ。
その間も執拗にキスを強請るから、抵抗する暇もなく応えてあげる。
酷いときは女の子に触れられた部分を消毒だと言って、何時間も舐めていたことがあったけれど。
(…最近はエスカレートしている気がするぞ)
俺が女の子と仲良くしたり、ちょっと過剰なスキンシップをしているだけでボーちゃんには浮気に思えるらしい。
最初の頃は、あんまりにも疑うから信用されていないようで苛立ったし、本当に浮気してやろうかとも思ったけど。
「…ボーちゃんを悲しくさせることなんて俺にはできないぞ」
「しんちゃ、ん」
低く抑えた声で俺を呼ぶボーちゃんの左手が、するりとのびて俺の髪の毛に触れる。
うっすらと汗の浮いた首筋、悩ましげに寄せられた眉間、震える睫毛。
全身で俺を好きだと訴えるボーちゃんの姿に、どうしょうもないくらい涙があふれた。
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