短編2[BL]

□僕達の場合
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しん風しん



僕には両手じゃ抱えきれないほどに大切なものが沢山あって。

例えばそれは両親だとか防衛隊の皆だとか集めている、もえPグッズだとか





「そろそろ模試だね。どう?勉強は順調かい」

「ああ、当たり前さ」

「さすが風間君!貴方ならA判定は間違いないわね。羨ましいわ」

塾の帰り道。身につけてしまった愛想笑いで、僕は世間から見れば将来を約束されただろう、正しく言えば優等生の中心にいつもいた。

学校では生徒会、家ではパパとママの期待を裏切らない良い子で、そうして友達と呼ぶべき周りは同じような連中ばかり。

(…いや、本当に友達なのは防衛隊の皆であってここに集まっているのはライバルじゃないか)


「とにかく俺達は世界に通用するエリートになるためにしっかりしないといけないね」

「そうね!」

僕の隣に並んで歩く男が、そう宣言すれば周りの女の子は当たり前のように微笑んだ。

「どうしたの風間君、さっきから黙って。もしかして具合悪いの?」

「…いや、」

「そう?私達、みんな仲間なんだからいつでも相談してね」

「ありがとう」

互いに腹の奥底では何を考えているのか分らないくせに、何が「仲間」なんだろうか。

僕は知っている。順位が下がった奴を、周りは見捨てて行くことを。

みんな自分の事で必死だ。それは僕だって同じじゃないか。誰にだって両手に抱えきれないほどに大切なものがある。

(例えば僕のように好きな奴を手放すことになっても、叶えなくてはいけない願いとか)



「おい、頭の悪そうな連中がいるぞ」

「本当。いやだ、下品だわ。はやく行きましょう!風間君」

「あ、ああ。うん」

コンビニの前には数人の男女が立ち話をしていた。背格好からしても同じ高校生なのだろう。

その中に、ひときわ目立つやつがいて。すぐに、しんのすけだと言うことが風間には分かってしまったのだ。

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