企画べや!

□秋平+虎太郎
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秋→平+虎



親友、お前の恋は俺には理解できない。

Everybody loves somebody.



「ねぇ、だから私のメアド渡してくれるだけでいいのぉ!」

「だーから、無理。秋には好きな奴がいんの!」

「それは知ってるけど彼女じゃないんでしょ?」

お願いよ、と差し出された一枚の紙。これにメアドを書いたところで何だ。秋に渡しても連絡なんて一生こないのに。

それでも年々、こういう類の頼みごとってのは増えていく一方だ。


「あき、帰ろうぜ」

「こたろー。今日、へーすけの家に行く。こたろーも来る?」

「また、へいすけかよ。あ、でも今日そーにぃ達とへいすけ遊びに」

そこまで言って、やめた。止めたと言うか、それ以上は口にできなかった。いつもは女子に人気のクールらしい顔がボケっとしてる。

こんな顔も女からしたら可愛いとか思っちゃうもんなのかな。整った秋の顔が見て分かるくらい落ち込んでいくものだから少しだけ同情した。

「何だ、へいすけに聞いてなかったのか?」

「…へーすけ。夕方には戻るって…言った」

騒がしい教室の中で、年々と男らしくなっていくその表情を歪めている秋を俺はもうずっと前から知っている。

秋は馬鹿だ。叶わない恋を選んで何になるのだろうか。恋に罪はない。だけど、そーにぃも鈴木もみんな俺には理解できないからな。多分一生。

「…そんなことより、ほら。あきに渡してくれって頼まれてさ」

「手紙?俺、受け取っても…なにもできない」

「そう言うなよ。一応、俺だって断ってはいるんだからな!あき」


鞄を手に、廊下を二人して歩く時も数人の女子からの視線に多分、秋は気づいていない。

へいすけも秋の視線の意味なんて全く、少しも考えてないだろうけどさ、これでは誰も報われない。それを俺はもう何年も見てきている。


「あき、モテるのに勿体ねーよな。俺だったら選び放題で嬉しいのに」

「…こたろー、モテる。かっこいい」

「あきに言われてもな。ま、いーや!へいすけに会えるかなー」

俺だって別にへいすけが嫌いなわけじゃない。へいすけの作る菓子は今でも一番、上手いし、にーちゃんも俺も大好物だ。


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