短編2[BL]
□蜃気楼
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しん+ネネ
ある日、突然だれかのものにならないで。ネネの傍にずっといてね。
しんちゃんは何も答えなかった。だけどネネを抱きしめてくれたのだ。
「……どうして?」
「仕方ないでしょ」
パタン、と閉じられた赤い携帯。お揃いのストラップが揺れ動く。
付き合ってまだ三週間。それでも、この会話を何度繰り返したことか。
「…昨日、連絡しなかったのは悪かったぞ、まだ怒ってる?」
「怒ってる。昨日、ずっと電話…待ってたのよ」
「ネネちゃん」
「何処で何してたの?誰と一緒だったの、しんちゃん。答えて」
マサオ君から聞いてたから本当は答えてくれなくても知っていた。
助っ人としてバスケット部の試合に参加して、それから打ち上げ。
でも、まだそれだけならいい。問題は女の子がその中にいたことだ。
「風間君と一緒に」
「風間君なら昨日、ネネと会ってたわ。嘘つかないで、しんちゃん」
「なんで、風間君と会ってたの?2人で?」
「どうして、しんちゃんが怒るの。それにマサオ君も一緒だったもん」
ネネは正直に話した。だから嘘をつかれることは凄く気分が悪い。
昨日だって、打ち上げと称した合コンだったのかもしれない。
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