短編2[BL]
□これからも
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「ふふ、」
「どうしたの?ネネちゃん、なにか面白いものでも見つけた?」
古ぼけたアルバムの中。開くとバサバサ落ちてきた写真の山にネネは少し微笑んで、それから覗き込んできた、マサオ君に目線だけを促した。
「あ、懐かしいね。幼稚園のときの写真?ボーちゃんが、まだ鼻水垂らしてるよ、これ」
「…ほんと、だ」
「あ、こっちは僕の写真もあるじゃないか。いつの間に撮ってたんだろうな」
懐かしむように手に取った写真に風間は胸が痛むような切なさと、そしてあの頃の思い出にそっと瞼を閉じる。
忘れてしまった過去は、もう色褪せてしまったと思っていたけれど、時間は戻ってはくれないけれど、でも。
「あれ?しんちゃんは?さっきまで、此処にいたのに」
「しんちゃん、なら…寝てる。ちょっと…だけ、疲れてたみたい、だから。今は…そっとしてあげたほうが…いい」
「ボーちゃんがそう言うなら、仕方ないわね。じゃあ、ネネ達だけで片付けちゃいましょう」
写真をばら撒いたのは、ネネちゃんの所有なのに、そう苦笑いを浮べ風間は山の中の写真に手をつけた。
「…あ、」
それは皆も同じだったのだろう。散らばった写真の中で、もう古くなってしまった思い出の中、君だけは、まだ色褪せないまま、そこで笑っていたんだね。
「しんちゃん、笑ってるね。今も昔も…かわらない。だからボク達もまだここに居られるんだ」
「マサオ君」
太陽みたいな君の笑顔。どんなに色褪せてしまっても、やっぱりしんちゃんだけは今も昔もずっと輝いている。
「だから、」
これからも、ぼく達は道に迷う事無く進んでいけるのだ。何処までも、何処までも。歩いていけるんだよ。
end.