短編2[BL]
□絡まる愛
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ボーしん
「しんちゃんの心臓を…食べる…夢をみたんだ」
「…へ?」
皿の端にピーマンと人参を寄せながら、しんちゃんはボクをみた。
驚いたような、けれど笑いを噛み締めるような、そんな表情で。
「俺の?」
「うん、お皿の上にね…こうやって…乗ってた」
目の前で黙々と食事を続ける、しんちゃんにボクは両手を広げた。
しんちゃんの、お皿の上には嫌いな食べ物で覆い尽くされている。
「おお!それって…本当に俺の心臓だったの?ボーちゃん」
「…しんちゃん、の…心臓だった…一目でボクには…分かるから」
「ふは…、ボーちゃんに俺って愛されてるんだ」
ゴウンゴウン
と、響く洗濯機の音。壊れかけなんだと、しんちゃんは言っていた。
「愛して、る…ボクはしんちゃんが思うよりずっとそうなんだと思う」
「ボーちゃん」
夢だった。けれど、とても悲しくてとても残酷な物語だったんだ。
綺麗なお皿の上、しんちゃんの心臓。誰とも分からぬ、その存在。
(それ、を…食べなきゃいけないと決意することが重要じゃなくて)
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