短編[BL]
□好きです
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しん風しん
「いい加減にしろ」
「…風間くんこそ」
ギリギリのラインを保ち互いの怒りを押し殺す。
お前も僕もこうすることでしか制御できないでいたのだろう。
I want all.
「正直…お前には、もう付き合いきれない」
「また、それ?風間くんって喧嘩になると、いつもそう言うね」
「っ、うるさい」
素っ気なく返した声が思ったより冷たくって、自分でも驚いた。
それもこれも、しんのすけと喧嘩をしたのが原因だ。僕は悪くない。
そう思っていないと今のこの状況は打破できない
ただ、たまにあるこう言った喧嘩はどんな怒鳴り合いよりも長引くのだ。
「それで…結局、風間くんはどうしたいの?」
「…それは、」
口篭る僕にしんのすけは溜息を吐いて僕を見た。
つきあい始めて3年、数え切れないほどに身体を重ね愛を育んだ。
それでもまだ時々、こいつが理解出来なくて心が冷える時がある。
(お互いの体のホクロの数まで知り尽くした仲)
しんのすけとの関係はそんな昔の冗談が延長されているだけのような気がした。
どうしたって、好きだからこそ嫌いな部分も増えていく。
「それで?」
「…っ、考えてるんだから…急かすなよ!」
机の上に置かれたカップが揺れ。それを、僕は一口飲み込んだ。
大体、最初は他愛も無い口論だった筈なのに。
(だけど話しているうちにあまりにも、コイツとの考えが違い過ぎて)
それが多分、互いにしんどくなったのだ。
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