短編[BL]
□明後日の方角
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擬人化シロ+しん
May it be in a you side, even if born again!
「しんのすけセンパーイ!次の授業、頑張って下さーい!」
「ほいほーい」
教室と廊下の境目。下級生の女の子達がしんちゃんに手を振った。
お昼休みはいつもこうだ。女の子達がイソイソと集まってくる。
「モテる男は辛いわね、しんちゃん。何がいいのかサッパリだけど」
「本当だよね、俺なんて大した男でもないのに」
そう、しんちゃんはやわらかい笑みをうかべた。
ネネちゃんは何かを言いかけて、それから少しだけ困った顔をする。
しんちゃんに謝りたいけど多分、素直になれないんだろうなぁと思う。
ネネちゃんは本当にしんちゃんが好きなんだ。
窓に沿って並んでいる本棚の上に腰をかけた、しんちゃんを見て思う。
誰からも好かれ。言うならばしんちゃんは女の子にもてるタイプだ。
スポーツ万能。人を笑顔にさせる君の魅力。
そんな彼と兄弟であることにボクは少しの悲しみと劣等感を覚えていた。
ボクとしんちゃんは顔が似ているけれど、中身は全くの正反対だ。
少し染めた茶色い髪も穴をあけた耳もダボッとした制服のズボンさえ。
しんちゃんなら、なんてよく似合うのだろうか。
どれだけ同じ顔をしていたとしても、ボクはしんちゃんにはなれない。
そんなことを再認識しては自己満足に嫌悪する。
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