短編[BL]

□2人の場合
1ページ/7ページ

しん+ネネ



ネネの場合

ネネの夢はいつか白馬にのった王子様が迎えにくることだった。

けれど、それを小学生の卒業文集に書いたとき周りの反応は酷かった。


だから、恥ずかしくて悲しくて。その卒業文集は破って捨ててしまった。

ただ、しんちゃんだけ。「可愛いね」と言ってくれたのは覚えている。


しんちゃんが王子様ならって思うけど現実はそんなに甘くはない。

サッカー部、エース、顔は中の上、それが今のネネの王子様である。


「何が欲しい?」

何て、ネネの王子様はネネの肩を抱きしめ優しくネネを甘やかす。

それが嫌だとは思わない。時々息がつまるだけ。


「何もいらない」

「ネネはいつもそう言うけど、指輪が欲しかったりしないのか?」


「…うん、いらない」


ネネの答えに、それでも優しさを絶やさない人。

マサオ君よりも優しくて風間くんより強引で、ボーちゃんより大胆。


(そして、しんちゃんよりネネを愛してくれる)

それが不満だとは思わない。けれど、たまらなくそれが悔しくもある。


「ネネちゃん?」

「…しんちゃん」


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ