短編[BL]
□2人の場合
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しん+ネネ
ネネの場合
ネネの夢はいつか白馬にのった王子様が迎えにくることだった。
けれど、それを小学生の卒業文集に書いたとき周りの反応は酷かった。
だから、恥ずかしくて悲しくて。その卒業文集は破って捨ててしまった。
ただ、しんちゃんだけ。「可愛いね」と言ってくれたのは覚えている。
しんちゃんが王子様ならって思うけど現実はそんなに甘くはない。
サッカー部、エース、顔は中の上、それが今のネネの王子様である。
「何が欲しい?」
何て、ネネの王子様はネネの肩を抱きしめ優しくネネを甘やかす。
それが嫌だとは思わない。時々息がつまるだけ。
「何もいらない」
「ネネはいつもそう言うけど、指輪が欲しかったりしないのか?」
「…うん、いらない」
ネネの答えに、それでも優しさを絶やさない人。
マサオ君よりも優しくて風間くんより強引で、ボーちゃんより大胆。
(そして、しんちゃんよりネネを愛してくれる)
それが不満だとは思わない。けれど、たまらなくそれが悔しくもある。
「ネネちゃん?」
「…しんちゃん」
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