短編[BL]
□アザレア
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チーター河村+野原
全部さらけ出せとは思わない。秘密を隠すなとは言わない。だけど。
何も喋れないで生きていくというのは少し悲しいと…オレはおもう。
アザレア
「おい、しんのすけ」
「おお、噂をすれば」
河村の言葉に、
クラスメイトに囲まれ盛り上がっていた、しんのすけが振り返る。
「何だよ噂って」
「…言ってもいいけど…怒らないって約束だぞ」
大騒ぎする、しんのすけの首元を掴み河村は呆れた溜息を零した。
すると近くにいたクラスメイトだろう男が河村に近寄り肩を引寄せる。
「河村、お前の初キスの相手って野原なんだろ」
「あ?初キス?」
(…オイオイ、何だそれ。いつの話しだよ大体)
確かに、幼稚園の頃、しんのすけと事故でキスをしたことがある。
だが河村にとって、あの出来事は想像以上に苦しめられてきたのだ。
まさかそんな悪夢を今になって思い出そうとは。
「おい、しんのすけ!いい加減なことばっか言ってんじゃねぇぞ」
「おお!河村くんたら、照れちゃって…俺まで照れちゃうぞ!」
お前いい加減にしろよ、そう言いかけてやめた。
いつも笑ってるくせに冗談半分で人を笑うくせに、何なんだお前。
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