ちびまる子/他短編
□復活(獄綱)
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REBORN/10年後/獄寺+綱吉
「10代目」と、今思えばキミは一度としてオレを「ツナ」と呼びかけたりはしなかった。
(…何度だって機会はあっただろうに)
オレもまたキミを「隼人」と甘やかしてあげることもしなかった。それは多分、君にとっても境界線だったのかもしれない。
「…もう10代目を誰にも触れさせたくないっス」
「獄寺くん」
護衛の配置された車に乗り込んだオレに君は、ドアを閉める手を止め、その端正な顔を歪ませた。
キミの異常なまでの忠誠心の大部分にはオレに対する愛情が含まれていることも、そのキラキラとした眼差しがいつだって真剣にオレのことばかりを考えていることも知っていたけれど。
でも、キミの瞳がどれほど鋭くオレを射抜いていようとも、もうオレは君の望むような関係にはなってあげられないんだろう。
まさかオレが本当にマフィアのボスになるなんて自分でも予想外だったし。こんな道、似合わないと思っていたら存外、しっくりときたもんだから今でも驚いているくらいだ。
「10代目…こんな俺は変ですか。貴方にとって俺は不必要なんスか」
「獄寺くん、そんなこと考えてたの」
「俺にとっては重要なことです」
何も答えないオレにキミは試すような視線を地面に落とし、オレの足元に跪く。滑稽で哀れで、それでいて美しい。
キミはもうオレ無しでは生きられないのだろう。
どうしたら許してくれる。力や権力、右腕なら喜んで差し出すがそれ以外を君にくれてやるつもりはないし求められても返すことは出来ないのに。
(…なのに)
「オレだってキミが必要だよ…獄寺君」
「っ10代目!」
「必要なんだよ」
死ぬ時はキミと一緒のような気がして、離れられないんだ。
end.