短編3[BL]
□愛の片鱗
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ボーしん+マサオ視点
「気持ちは、嬉しい。でも…付き合ってる人が、いる」
だから、ごめん。ありがとう。ボーちゃんは、お決まりの台詞で今日も女の子の告白を華麗に断ったらしい。
いや、モテる男は違うね。ボーちゃん。
「どんな美女が相手でも落ちない、難攻不落の男って噂だよ」
「…マサオくん」
「これで3連続、またまた更新だね。クラスの女の子が騒いでた」
靴箱の前に立つボーちゃんのところまで近付いて困った顔をする幼馴染に笑顔を向けた。
遠目からでも分かるバランスの取れたスタイルに少し長めの前髪で隠れてはいるが横顔の輪郭だけでその顔立ちが整っていることが分かる。
残念なことと言えば勉強もスポーツもある程度、完璧な彼が可愛い女の子よりも珍しい石と、ある人物にしか興味がないと言うことか。
「ボーちゃん、いま身長どれくらい?」
「180…だと思う」
「あー…ボクもそれくらいあったらな」
「マサオ君は?」
「いま176pくらいだったかな。しんちゃんをやっと追い越したとこ」
「しんちゃん…悔しがる」
そう言うとボーちゃんの形のいい唇が微笑むように小さく笑う。男のボクでも、つい絆されそうになるような表情をするから困るんだけど。
(どんな些細なことだって、しんちゃんのことが話題になるといつもこうなんだもんなぁ)
そもそも遠巻きに此方を見ている女の子達の視線にボーちゃんは気づいているのだろうか。
いや、ボーちゃんにとって彼女たちの存在は否定も肯定もされないのだろうけど。
あの中には、ボーちゃんのことが好きだって思っている女の子が混じっているだろうに。
「女の子と付き合うとか、考えたことないの?」
「…ない。マサオ君こそどう、なの」
「彼女は欲しいけど正直、恋愛ってどうするのか分からないんだ」
「マサオ君が後輩の女の子に告白されてたって、ネネちゃんが言ってた」
「…ネネちゃんはお喋りだよね。ボクは、ほら。本命の子には逃げられてばっかりだから」
「あいちゃん?」
「んー…あいちゃんもだけどさ、いつも好きになった子には好きな人がいたりするんだよね」
何気なく巡らせた視線の先には、女の子と抱き合っているしんちゃんがいた。
学校で、しかも人通りの多い廊下で白昼堂々なにをしているのか。
「…しんちゃんは相変わらず女の子が好きだね」
「それが、しんちゃん、だから」
「そうだけど。ボーちゃんはそれでいいの?あれ、完全な浮気だと思うけど」
「浮気?」
「だって、ボーちゃんとしんちゃんって付き合ってるでしょ。長く一緒にいるんだから、それくらいボクもネネちゃんも知ってるよ」
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