短編3[BL]

□友達
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しん+ネネ



いつだって俺の隣がネネちゃんの特等席であったように、ネネちゃんの隣も俺の特等席だったんだぞ。

そんなこと一生、言ってあげないけど。


「好きだぞ」

「なにが?」

校舎の一番奥にある階段を上りながら屋上に続く踊り場まで、ゆっくりと足を進めると階段の下から聞こえる喧騒と、ネネちゃんの声が静かに重なり合った。

しんのすけは、ひんやりとした壁の感触を指先で確かめながら右手に持っている紙パックのジュースを目の前でブラブラさせる。


「これ」

「苺ジュース?」

「そうだぞ」

「しんちゃん、ふたつも飲むの?」

「まかさ。ひとつはネネちゃんの」

「それを言うならまさか、ね。ありがとう、しんちゃん」

ネネちゃんはころころと可愛らしい笑い声を響かせた。

窓から差し込む光に目を細めつつ、ストローをぶすり。そして一口その甘さに顔を歪ませる。


「甘いぞ」

「でも、しんちゃんコレ好きなんでしょ」

「ネネちゃんは甘くないの」

「ネネは苺のジュース大好きだもん」

「…知ってるぞ」

だから俺もこれが好き。って言葉は上手く呑み込めた。好きなものが好きだって言えないのは恋と一緒だ。

なんて不毛な思考を遮断し、踊り場まで到着すると背中を壁にくっつける。ああ、ひんやり冷たい。

そうしていると、ネネちゃんも紙パックのジュースを手に俺の隣に並んで足を交差させた。


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