短編3[BL]

□21g
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ボー+しん





「人間の魂の重さは21グラムなんだって、ボーちゃん知ってた?」


ボクは箱に詰めていた綺麗な小石を、じっと見つめ唐突にでてきた言葉の意味を考えていた。

壁に掛かっている時計を一瞥すると、ちょうど2時1分を指している。


「しん、ちゃん…どう、したの」

「どうもしないぞ。ただ風間君に借りた本にそう書いてたから」

「実験で証明された、ことは…ある。けどそれは、仮説だよ。しんちゃん」

「あれ?そーなの」


そう言って、しんちゃんはボクの肩に片頬をすり寄せると吟味するように繋いだ指先を無意味に動かした。

ボクの答えは不満だった?と問えば2、3度首を振って、しんちゃんはボクの肩から顔を上げる。

こうして、時々だけれど気まぐれに見せてくれる、しんちゃんの甘え方にボクは弱い。


風間君には甘えるって言うよりは甘やかしてしまう。

マサオ君の前ではずっとヒーローでいてあげたいから弱い部分なんて見せてあげたくない。

ネネちゃんは触れるか触れないかの距離がちょうどいい。それがしんちゃんの理由らしい。


「ボクならいいの?」

と随分前にそう尋ねてみたけれど、しんちゃんは未だにそのことに答えてはくれていない。


「仮説だって、ボーちゃんも思う?」

「死んだ人間は水分の補給がない、から…乾燥した水分の重さだけ軽くなる」

だから魂の重さは21グラム、なんて俗説が広まったんだろう。

しんちゃんは少し笑って絡めた指に力を込めた。



長針と短針が2時30分を過ぎた頃しんちゃんの携帯がチカチカと点滅を繰り返す。

着信は女の子の名前だったけれど、しんちゃんは手に持った携帯電話をじっと見つめたまま、いつもの調子で答えた。

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