ちびまる子/他短編

□夏の残像
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大まる+杉山



運動神経抜群かつ成績も優秀。顔もいいので女にモテるが、かなり硬派で女心には無関心。つまりは俺の親友である大野の話だ。

「さくら、お前さ。大野の告白なんで断ったんだよ」

「…ちょっと大野君そんなことまで杉山君に話すの?」

「そんなのはどーでもいいだろ。なんで断るんだよ」

何度も同じ言葉を繰り返す俺に、さくらは少し怒った顔をして睨んできたが全然、怖くない。むしろ黙っていれば可愛いとさえ思う。

俺の感情と同じくらい、むき出しの日差しがさくらの白い肌を焼く様子さえ綺麗に思えた。


「あんたね…どうでもいいなんて言う問題じゃないんだよ」

「じゃあ、どーいう問題なんだよ」

「どーいうって…わかってないよこの人は」

「はぁ?お前こそ分けわかんねーよ」

ふつりと言葉を途切らせたさくらに俺は額を手のひらで覆ったまま深い溜息を吐く。

大野が女を振ることはあっても、振られることなんてないんだぜ?そもそも大野が誰かを好きになるってことはそれだけ意味のあることだ。

大野って人間は完璧であるが故に他人に弱さを見せはしない。だからこそ大野には、さくらが必要なんだと思う。


「杉山君、あたしのこと可愛いと思う?」

「普通」

「じゃあさ、頭がいいと思う?」

「普通だろ。それにさ、おまえ運動も人並だし遅刻はするし」

「も、もういいよ。あたしゃ短所しかない女だよ」

「だけど、さくら。お前だから大野と気が合うんだぜ」

俺の言葉に、さくらが少し驚いた顔をした後、照れたように笑いながらまた俯いてしまった。

その様子がちょっと可愛いと思った俺も、そんな女らしい顔をするさくらも真夏の暑さに相当やられているんだろう。

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