ちびまる子/他短編

□青峰+黒子
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黒子のバスケ/青峰+黒子
※中学生キセキ時代




「青峰君、またボクの知らない処で勝手に怪我をしましたね」

「テツ、おまえは心配しすぎだろ」

「でもエースが手を怪我したら明日の試合に困ります」

「…オレより試合の心配かよ」

オレの顔を窺いながら、テツはぼんやりとそう言った。少なからず怒っていると思ったが、こいつの頭の中にはバスケしかないらしい。

絆創膏を腕に貼るテツを黙ったまま見つめ、ソファに座ったオレは片手でバスケ雑誌のページをめくりつつ「テツはバスケ馬鹿だな」と笑ってやる。

(…まぁ、さつきや他の奴らに言わせたらオレもテツの同類らしいけどな)


「階段から落ちそうになった桃井さんを助けたらしいですね」

「ああ。てか、なんでテツが知ってんだよ」

「桃井さんが泣きながらボクに教えてくれましたから」

「さつきとあんま仲良くすんなよ」

「…青峰君こそ桃井さんが大事なら、まず自分を大切に」

「そうじゃねぇよ。テツはオレのだろ。自覚しろよ」

孤高の王になりたかったわけではないのに、いつの間にかそうなってしまったオレにテツだけは太陽と月のように離れず近づかず傷つけない関係を差し出してくれたんだ。

そんなお前に愛されたい、オレ無しではバスケも息をすることもできないくらい夢中になってほしいと願うのは何も可笑しいことじゃないだろう。

必然だったんだ、当然だったんだ。お前はオレの影になる為に生れてきたんだ。


「…青峰君のものになりたかったですよ」

「あ?だから、テツは俺の」と身を乗り出して、その手を掴むとひどく冷たいことに気がついて、薄く笑ったテツを見る。

「ボクは青峰君のものにはなりたくてもなれません」

「バカが。なりてぇなら、なればいいだろが」

と言えば、いつも黙ってしまうテツの悪い癖。けど、そうさせたのは紛れもなくオレが原因なんだろう。

「…テツ、オレはお前を手放さないぜ」

「はい」

「だから、お前もオレを簡単に諦めるな…オレを失望させるなよ」

「…っ青峰君」

上手に会話もできなくせに、離れてしまうこともこれ以上、互いの気持ちを確かめ合うこともできないでいる。

ぐっと距離を詰めて鼻先が触れ合うほど顔を近づければ、テツの動揺が吐息から伝わってきた。お前を不安にさせたくて好きになったわけじゃねぇのに。

(…けど今更だろ。オレ無しでは生きられないくせになぁ)


「テツ」

「はい」

「好きだ」

「…はい」

そう言って唇に触れると、お前はいつも泣きたいのを我慢する。至近距離で覗きこんだテツの眼球は、オレの愛(独占欲)で薄汚れていた。


end.

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