短編2[BL]

□全てを間違える
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マサオ+しん



「マーサーオーくん」

「…しんちゃん、ボクの家はこっちだよ」

「おお!いつの間にお引越ししたの?」

「いい加減覚えてよ。ボクなら何でも許してくれると思ってるでしょ」

「そんなことないぞ」

その辺の芸能人よりも整っている綺麗な顔で微笑まれると、どきりとするがそんな素振りを見せないことには慣れている。

しんちゃんは玄関を閉め靴を脱いだところで「お邪魔します」と言った。こんな処ばかり礼儀正しいのに、どうしてボクの家は覚えてくれないのかな。

すぐ間違える、しんちゃんとそんなキミを許してしまうボクとの関係はきっと他人からみたら相容れないのかもしれないのだろうけど。


「しんちゃん嬉しいことでもあったの。ああ、もしかしてこの前の女の人と進展でもした?」

「付き合うことになったって言ったらマサオくん喜んでくれる?」

「…今更だよ。喜びはしないけど、おめでとう」

「喜ばないって…辛辣ですなぁ。マサオ君ってば」

「許してよ。ボクに彼女ができないのに、しんちゃんにだけできるのは悔しいからね」

だから喜べないよ。と言えばキミは納得して唇を閉ざした。鈍感なキミが好きなのに、そんなキミさえ時折、恨めしく想うときがある。

そもそも、しんちゃんの歴代の彼女達をボクは知っている。どの女の子も、あいちゃんみたいに美人だった。一体どんな手段で彼女たちを騙しているというのか。


「…あいちゃんと言うよりは、ななこさん似だったけど」

「マサオ君?」

「こっちの話。それで今度の女の人とは長続きできそうなの?」

「その言い方だと長続きしたことがないみたいだぞ」

「実際そうだよ」

しんちゃん、キミは恋に盲目。誰かに愛される安心感が欲しいだけの。恋無しでは生きられない、ただの男の子だよ。

(…そうしてボクはそんなキミが好きなピエロだ)


「マサオ君だって長続きしないでしょ。半年かそれ以下だって知ってるぞ」

「どんな女の子を好きになっても駄目なんだよ」

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