ブラッディクロス
□四章
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第四章 狂気の意志
気がつくと暗室のような場所に僕はいた。他には誰もいない。僕だけがこの部屋にいた。
視線をさまよわせていると目の前の壁のような場所に何かが浮かび上がった。まるで映写機が点いたかのように暗い空間の中で映像が流れ始める。
知らない光景。知らない人間。次々と浮かび上がっては一瞬で消えていく。
その映像を見ていると胸が苦しくなった。締め付けられるような痛みが襲い掛かる。
場面が切り替わる度にこの痛みは生まれていた。理由はわからない。知らないのだからどうしようもない。でもなぜだか悲しい。苦しい。痛い。
狂ったスライドショーは続く。いつまでなのか。永遠に? この痛みはずっと続いてしまうのか。
そう思っていたとき、ふとある顔に目が向いた。
ドクン。
心臓が跳ね上がるような音が聞こえた。同時に今までとは比べ物にならないくらいの痛み。
知っている。彼女だ。いつもあの赤い夢に現れる少女。こちらへと満面の笑みを向けている。
どうして今に限ってこんなにも苦しみを感じるんだ。
彼女の笑顔が瞼に焼きつき、そして消えた。しかし痛みは消えることはない。
そして次に現れたのは――