D.Nover再録
□NO.3
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【俺だけ…】
タタタタタタ…
誰もいない廊下に誰かのすすり泣く声と走る音が響いている。
「ヒバリさんが、ヒバリさんが!!!!」
わぁぁ〜ん!と涙を流すのはさっき自分が何気なく訪ねた応接室で恋人の鳥肌が立つような姿を見てしまった綱吉である。
ヒバリさんがあんな変態に!
いやだ!!なにが嫌か自分でもよく分からないけど、なんかとてつもなく嫌だ!
「綱吉!!!」
そうして、ボロボロと泣きながら廊下を進んでいると不意に綱吉を呼ぶ声がした。
誰かなんてよく分かっていたが呼ばれた衝動のままに振り向けば、突然自分のよくしる腕の温もりに包まれた。
その俺を包み込む腕はどこかいつもよりも余裕はなくどこか必死にも思えた。
「浮気なんてしてないから、あんな変態有り得ないよ僕が好きなのは綱吉だけだから!!!」
言い聞かせてくれている言葉もだから泣かないでと言っているかのようで俺の胸を締め付けていく。
―――分かってる。ヒバリさんがどれだけ俺の事を好きで言ってくれるかなんて…
でも分かっているからこそ込み上げてくる嫉妬の感情があった。
「ヒバリさん…」
「綱吉…っ!!!」
抱き締められながら出た俺の第一声は思ったより低く、それを心配してか恐る恐る聞いてきたヒバリさんを俺は容赦なく押し倒した。
「っ、綱吉!?」
案の定俺の行動にビックリしていたヒバリさんの上に俺は馬乗りのような状態にまたがり、シャツを引っ張って無理矢理口をくっつけた。
普段はあまり自分からこう言う事はしないタイプなのだが今日は言いたい事も全て言ってやろうと思った。
「俺はヒバリさんが浮気してるなんて思ってません。俺はただ、ヒバリさんが骸に押し倒されてたのがどうにも腹が立ったんです!」
「は?」
「ヒバリさんが押し倒されてたんですよ!しかもあの変態に!!!しかも下!!!有り得ないヒバリさんはこんなにかっこよくて綺麗で鬼畜で意地悪でドSなのに下なんて!!!!」
「最後の方けなしてない…」
「とにかくヒバリさんが下なんて嫌なんです!!!ヒバリがは攻めじゃぁなきゃやだ、誰かに抱かれるなんてやだ!例えヒバリさんを押し倒したとしてもその権利があるのは俺だけだ!」
「・・・綱吉」
「ヒバリさんを押し倒すのも押し倒されるのも抱かれるのも俺だけ、ヒバリさんは俺のものなんだから。」
最後の方は自分でもなにを言ってるか分からなかったけど、拗ねたかの様に抱き付けばまた優しく包み込んでくれた。
「じゃぁ僕に抱かれるのはいいんだね。」
いきなりきた言葉にビックリはしたけど、俺はゆっくりと頷くだけだった。
「じゃぁ、あの変態は追い出したから応接室行く?それでもゆっくりしたいなら僕家くる?」
身元で静かに選択肢を与えられ、耳にかかる息が背中をゾクリとさせた。
「…家いく。」
俺の答えは意外と早くでた。それと同時に顔を上げれはヒバリさんの顔がすぐ近くにあり俺は触れるだけのキスをする。
「今日は積極的なんだ。」
そう言われ俺は少し笑って上目遣いを狙ってこう言ってやった。
俺だけ見てなかった貴方が悪い。
END
三日かけて書いた連続話。
うん。骸が雲雀さんをからかうからこんなややこしいことが起きるんですよね・・・