D.Nover再録

□俺の碧
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「ねぇ、綱吉。悲しい時は泣いていいし、無理に笑わなくてもいい、それに、差し出された手は拒まなくてもいいんだよ。」

そして、その強く抱き締めてくれるのが雲雀だと気付いたのは彼が話かけてからだった。

「君が居場所を求めるなら、僕が居場所になる。だから、逃げないで。」

「っ逃げてなんかいない!!!」
グッと雲雀を押して抱き締められる腕を解こうとしたがそんなに距離はできなかった。
そうして、少し離れた距離から目線が合う。
真っ直ぐ見つめられる瞳は眩しかった。

「だったら、僕の名前を呼んで。」
「…恭弥」

「ねぇ、これ書いたの君?」
差し出された白い紙は自分が変な詩を書いてしまった紙。

「それは!」
「これ詩だよね。ねぇ知ってる?詩ってさ、心が顕になるんだよ。」

「…………」

「…僕にはこれが拒否を言いながら求めてるようにしか聞こえないよ。」

返す言葉なんてなかった。
言われていた事は今まで、誰も気付いてくれなかった心理。

どうしてこの人なのだろうか…

「僕じゃ君の居場所にはなれない?」

「ダメだよ…俺が恭弥の側にいたら恭弥が殺されるかもしれない。」

「なにいってっ「俺は恭弥が居なくなるのがいやなんだ!!!」

求めて居なくなってしまうくらいなら、今のうちに手放しておきたい。
自分の気持ちなんて気付いてた。

だから俺は泣いたんだと思う。

「綱吉。」

「えっわっ!!」

強引に引っ張られてまた彼の腕の中に収まった。

「生憎、僕は君より先に死ぬ気もないし、君を一人しない。悪いけど、もう君を手放す気なんてないよ。」

「へっ…」

間抜けな声で返事をしてしまったが、恭弥は優しく頭を撫でてくれていた。

「好きだよ。」

「へっ!き、恭弥!?」

「君には僕がそんなに弱い人間に見える?」

いきなりの言葉にどこか頬が熱くなって行く気がするし、どこか鼓動が早くなって行く気がする。

「思わないけど…」

「ねぇ、僕を呼んで。」

「…………」

「ねぇ。」

「恭弥…」

「うん。」

「恭弥。」

「何?」

笑顔でそっと問い掛けてくれるこの人から差し出された手を俺はもう拒めなかった。
今までになく涙が溢れてきてそっと腕を彼の背中に回した。

「もう離してあげれないよ。」

小さく言ったのは隠し続けた本音。
でも、それにすらどこか自信有りげに答えてくれる。

「クスッ生憎、僕の方が君を手放すきなんてないから。それに、初めから君に拒否権なんてないよ。」

「……ッハハハ!恭弥らしいや。」

抱き締めてくれる腕が強くなったから俺も強く抱き付いた。


俺が求めてたのは、求めてはいけないと思ってた人の温もりだった。

でも、恭弥だったからきっと手を伸ばせたんだと思う。

鎖も錠前も全部壊して灰色だった俺の空をいつの間にか碧く染めていって。
初めて隣りにいたいと思った。

どちらにしろ俺は自分の気持ちから逃げていたらしい、けどもう逃げないよ。






「恭弥。俺も恭弥が好きだ。」





ちゃんと口に出して言うから。








END



→後書き書いて置きます。
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