D.Nover再録
□俺の碧
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錠前を壊した心-カギを壊した心-
うっすらと意識が戻ってくる。
そこで気付いたのは自分が学校の屋上で寝ていたという事と誰かが目の前に立ったいる事。
―――誰だ…
目を閉じたまま気配を探れば知っている気がする気配。
だけどどこかで鳴り響く警告音。
「ねぇ綱吉。僕は君の居場所にはなれないの?」
―――え……恭弥。
聞こえてきた声は今、最も聞きたくななかった声。
―――俺の居場所…
そして、なんとなく分かった彼の言葉の意味。
どこかで警告音がうるさく鳴り響いている。
「ねぇ、いつまで狸寝入りしてるつもり?」
そしてまた上から降ってくる声…
これ以上はこの人にごまかす事もできないと思って綱吉はしぶしぶ瞳を開けて言った。
「ハハハ、気付いてたんだ恭弥。」
「…当たり前でしょ。君の事なら分かる。」
「え、」
「気配でね。」
あ〜っと頷きながらさすがだね〜など言って綱吉は立ち上がる。
目の前に立っていた雲雀に驚きつつもいつも通りを装って話すが内心は速く雲雀から離れたかった。
―――今ここにいてはいけない。
頭の中で思考が叫ぶ。
「それより君寝てたよ。」
「あ、うん…珍しいよね!」
普通の学生ならなんともない事なのだろうが、綱吉は普段学校や自宅ですら満足に睡眠など取れない。
幼いこれから、知性なども優れていた綱吉はボンゴレの10代目の事もありよく命を狙われた。
そんなこともあり、特に襲撃の多い夜は眠る事も少なかったため他人の多い学校で眠るなんてことはできずにいた。
「珍しいじゃないでしょ。………なにかあった?」
「え?」
サクッと読み取られる自分の変化
―――やっぱ恭弥だね。
この人には自分が知られ過ぎている。
やっぱりここにいてはいけない。
「なんでもないよ。ただの疲れかな!じゃ俺教室戻るは〜」
誤魔化しきれるか解らない相手だか逃げるためにまた嘘をついてしまう。
―――これ以上恭弥の側にいちゃダメだ。
心にあるのはそれだけ、そうしてその場から立ち去ろうとする。
が、
「ねぇ、いつまで僕から逃げるの?」
突然捕まれた右腕。
少し跳ねた心臓。
そして、脳内までよく響いた声。
やっぱり今日はここにいちゃダメだった。