D.Nover再録

□俺の碧
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多分、碧に染めたのは貴方…







錠前を壊す輝-カギを壊すヒカリ-







―――クダラナイ。

そう思ったのに俺はシャーペンを動かしていた。

いつもはなんとも思わない国語の授業。
今の範囲は詩歌らしい。
いたって興味のない内容ばかりだし、普段「ダメツナ」を演じる俺はまともに授業なんて聞いていなに。

昔から理解するのは速かったし、本気になればこんな文や人物の名前など覚えられだろう、それに「ダメツナ」に学力は要らない。
だから毎日がつまらなく、クダラナイ。

けど、今日はそんな詩歌の単元も終わりらしく最後の時間たからと言って教師はまっさらな白い紙を配った。

「はい。じゃぁ皆さんも詩などの創作活動をしてみましょう。もしかしたらこの中から将来の詩人達が芽を出すかも知れませんよ〜」

教師は詩でも短歌でも俳句でもなんでもいいと言う。

―――めんどくさい…

それが本心。
なにか書かなきゃいけないと言うなら、「俺はダメツナです」とでも書いておけばいい。
でも、教師の言った言葉がなにか引っ掛かった。

「心を開いて見て下さい。言葉に思いをのせてみましょう。」

―――心を開く?

一瞬自分の眉が引きつったのを感じたがすぐ戻す。

―――俺の心が開くはずがない。

「ダメツナ」に心なんていらなかった。

っと自分が何を考えているのかが分からなくなりそうだったが、すぐ今の状況を考えてみる。

「ダメツナ」が悩んでないぞ…

はっとして綱吉は白い紙をノートから破りそれに詩を考えているフリをした。

なぜなら「ダメツナ」が詩を書けるはずがないから。

ただ、そのためだけに。
のはずだったが、なにを思ったのかせっかくの時間だから俺も自分の心を覗いてみた。




◇◇◇◇◇





ギィィ
錆びた音ともに空を見る。

―――青いな…

そう思い来てみた屋上。
手には白い紙をもって。

4時間目の国語は終ったがその後の昼は食べる気がしなかった。
なんとなく一人になりたかったから山本達には嘘をついて、孤独(ひとり)になった。

そして、手頃な所に腰をかける。

手にもった白い紙にはさっきの国語の時に書いたもの。

「俺、何書いてるんだろ…」

そう思いながら再び紙を見る。
そしてなんとなく口に出してみた。

「空はどこまで碧いのだろうか

心はいつになったら開くのだろか

鎖は数を増すばかり
錠前は錆びていくばかり

輝をもとめて走っても
手にとどかない輝なら

最初から現れなければよかったのに

夢は醒めたら虚しいから
俺の輝にならないで
錆びた錠前を壊さないで

灰色になったはずの空が
なぜか碧くなっていく」


淡々とゆっくり呼んだ詩が詩なのかは分からなかったけど、これは最近の俺を揺らす原因。


どこか心が苦しくなる。
前は、あの人と出会う前はなかった痛み。


碧くしたのは貴方だろう。
だから、もう近付かない。
そう決めたのに…



晴天の日差しが俺を照らしていた。
普段なら絶対こんな所で眠るはずがないのに、神経の疲れのせいか意識が遠のえる。

目覚めた時の貴方がいるとも知らずに。
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