D.Nover再録
□見つめて、悩んで、惚れて
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8『見つめる』
窓、それは部屋において壁で空間をしきったとき外の空気の入れ替えや景色を見るために取り付けられるもの。
だが、時には覗きの道具になる。
「い、委員長・・・いい加減執務に戻ってください」
「なに、僕に意見するの?」
ぎろりと鋭い眼光が草壁に向けられる。だまってろ、むしろお前がやれと言わんばかりの痛く怖い視線に草壁はそれ以上何もいえなくなってしまった。
「いま、丁度体育なんだ、君何の権限があってこの時間を邪魔しようというの」
「で、ですが委員長・・・っ!!」
窓にへばりつく雲雀にせめて言い返そうとすると、ヒュンっとトンファーが右頬をかすり後ろの壁に突き刺さった。
(もう、なにを言っても無駄じゃないか・・・)
雲雀恭弥の日課。
それは、沢田綱吉の観察だった。
「これ以上いくとストーカーになるよな・・・っぐへ!!」
ぼそっとそんなことをいってしまったら、今度は腹にトンファーがめり込んできた。どこまでいってもこの人は最強だ・・・
だが、ストーカーになりそうなのは事実。
四六時中沢田綱吉を見つければ熱い視線をおくる日々。周りの誰もが雲雀が誰におねつなのか分かってしまうほど、大胆でこっそりとしたアプローチなのにとうの沢田は一向に気づく気配を見せない。
「もう、早くくっ付いてください」
それで、このたまりにたまった執務が進む始めるのなら、自分が恋のキューピットになりたい草壁なのだった。
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