D.Nover再録
□俺の碧
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ヒバスレツナです。シリアス?(二人は付き合ってないです)
何時からだろうか、灰色だったはずの空が碧く見えてきたのは…
-その心にあいた穴-
ギィィ…
この学校で一番空に近くなる場所。
そこへの扉が錆びて滑りが悪くなったかと思わせるような音をたてて開いた。
今のこの時間は授業中、だから本来なら誰も居るはずがない屋上に雲雀は来ていた。
ふと空を見上げる。
―――青いな…
空は雲一つない晴天だった。
空を見上げていた目線をそのままフェンスの先にある並盛町に向ける。
―――こんな日はよく草食動物が群れる。
にぃっと口元を持ち上げ楽しそうな笑みをこぼすと今度は屋上全体を見る。
こんな日の空は昼休み後のサボリ達に快適な日差しを与える。
なら、そんな授業をさぼった草食動物を狩ろうっと雲雀は屋上に来ていたのだったが、雲雀の瞳には意外(いや、意外ではないと言えば意外ではないのだが)な人物が映る。
「綱吉…」
思わずその人物の名前が出てしまった。
―――何日ぶりだろう。
屋上には綱吉意外の姿はなく彼は今眠っていた。
キャラメルめいた茶色髪に意外と整って顔だちの彼は実年齢より若く見えるが、眠って居る時はより一層幼く見える。
だが、今彼から発っされている気配は雲雀がよく知る彼だった。
―――寝てる。珍しい…
雲雀がよく知る「綱吉」は眠る事をあまりしない、ましてやこんな無防備な場所では絶対に。
彼は仮面をかぶり日々を暮らしていた。
だが、雲雀はその仮面をすぐに見破った。
それからと言うもの、彼は本当の「綱吉」を雲雀に見せるようになり、雲雀の隣りなら眠れるようになっていた。
だが、最近綱吉は雲雀を避けるようになっていた。
「綱吉。」
もう一度名前を呼ぶ雲雀が居る。
どこか寂しそうな顔をして。
そして、雲雀の手が綱吉の頬に触れる、が起きることはない。
気は許されている。その事は分かるが、なら何故最近彼は僕を避けるのか…
綱吉を見つめていた目線がふと彼の隣りにおいてあった白い紙にいく。
その紙を見れば、「碧」と書かれた詩のような物が書かれている。
もう一度だけ彼を見て雲雀はそれをよんだ。
――――――
「…心を聞きたいのは僕の方だ。」
一通り読んでのか零れる言葉があった。
―――開かない錠前なら壊して上げるのに…
今までの中で一番寂しそうな顔をして雲雀の口からはまた言葉が零れる。
「ねぇ綱吉。僕は君の居場所にはなれないの?」
―――君は何時になったら僕を呼んでくれる?