◆駄文部屋

□君の声をもっと
1ページ/1ページ


バタン
子ネズミ達が主人の帰宅に嬉しそうにチチッと鳴く。
「あ、ネズミお帰り!」
パッと本から顔を上げると灰色の瞳とかち合った。
「ただいま。今日も子ネズミ達に朗読してんのか?」
本をちらりと見て、椅子に腰を下ろした。
「あ、うん。」
「ほら、続き読んでやれよ。待ってるぞ?」
くすりと笑うネズミにドキリとしながら、子ネズミ達を見れば早く続きをと言わんばかりにチチッと鳴かれた。
「あ、ごめんごめん。」
読みかけだった本を持ち直し、続きを読み始める。

(…シェイクスピアか…)

「アンタ朗読だけは本当に上手いな。」
ポツリと呟けば、紫苑の心地よい声が止む。
あぁもっと聞いていたいと思った。
「君に…君にそう言われると嬉しいなぁ!」
嬉しそうに綻ぶ顔。
「別に褒めた訳じゃない。ただ事実を言っただけだ。」
「でも嬉しいんだ。」
とても嬉しそうに笑いながら本に目を落とす。
再び心地よい声が部屋に小さく響く。
そっと読み慣れて頭の中に入っているシェイクスピアの物語を紫苑の声に合わせて紡ぎ出す。
「…君が…君が読むとやっぱり凄いな…」
「お褒めに与かり光栄です。陛下。」
ネズミの低すぎず高すぎない声。
そのシーンに合わせた声音は鳥肌が立つほどすごい。まるでシェイクスピアの物語の中にいるようだ。

(あぁ…綺麗だな…)

「ネズミ…朗読は君の方がいいんじゃないか?」
うっとりとした瞳を向ける紫苑。
「は?俺は忙しいんだ。朗読はアンタに頼むよ。子ネズミ達もアンタが気に入ってるみたいだし。」
スッと紫苑の側に行き、艶のある白髪に口付けた。
「それに…アンタの声、悪くないしな。」
「え?」
驚いたような紫苑の唇を軽く奪う。
「ネ、ネズミ!」
耳まで真っ赤に染める紫苑を後目に軽やかな足取りでシャワー室へ向かって行った。
「僕はネズミの声の方が好きなんだけどな…」
まだ熱を持っている頬を手で押さえながら、小さく呟いた。


結局はお互いにお互いの声が好きなんだ














あとがき

あわわ(汗)なにこれって感じですよね(泣)
本当にすみません…
なんか声っていいなぁと思いまして…
意味不明なものですみません!!
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ