草書
□再会
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《SIDE I》
…鬱陶しいな…。
今日は市丸隊長の誕生日だ。こんな時期に突撃命令を出した山本総隊長に感謝したい。が…隊長の霊圧を探れない上、雑魚が行く手を阻む。
僕は何としても!今日会いたいんだ!
遊びに行く訳じゃないし、贈り物なんて持てないから、せめて言葉だけでも伝えたい。そう思っているのに…。時間が無いんだよ!
「隊長…どこですか?」
多分顔を見たら文句とか言いそうだな、僕…。あ、でも隊長変わってたらどうしよう…。『何しに来たん?』とか言われたら…。ハッ!『射殺せ神槍』とかって言われたら…。
いや、あの人ならあり得る…。しまった…。会える方に気が行ってしまって考えつかなかったけど…。
まぁ、でも隊長の誕生日が僕の命日ってのもいいかもしれない…。
とりあえずは探さなきゃ。でも霊圧全く感じ無いなあ…。とりあえず死神側と合流する訳には行かないから、あ、あそこに不審な建物?洞窟?発見。あそこで鬼道使って少し探ろうかな。
後を追われても面倒だ、と微弱にしていた霊圧を完全に消した。…市丸隊長が来てくれるかもってちょっと期待してたんだけどな…。
「へえ…。」
洞窟?っぽい作りだが、足元は岩肌が全く見えない位砂で覆われていてとても座りやすそうだ。
「これなら集中出来る。」
落ち着かねば、と砂の上に正座をして目を閉じる。気が急いている、落ち着け!僕。そう思うのに、隊長がもしかしたら近くにいるかもしれない、とかここに現れたらどうしよう。とかいろいろな思いが頭を巡ってさっぱり集中なんて出来ない。
「落ち着け…。隊長の霊圧は…。」
深く息を吸い込み、先ずは精神集中で霊圧を探る。
…もし、霊糸が赤かったら…赤い糸…うわぁ、乙女っぽいなぁ…。は、恥ずかしい!!!
精神集中する筈が己の想像にやられちゃってるよ!
「あ〜、ダメだダメだ。市丸隊長…市丸隊長…。………ギン……。」
やっと少し落ち着いた。目を閉じ、市丸隊長の姿のみを脳裏に浮かばせ…。か、かっこいいなぁ…。
…ダメだ集中出来ない…。久しぶりにハッキリと頭に浮かんだ隊長の姿に呆気なく脱力させられた。
「あぁ〜!僕はダメだぁ!隊長〜!僕はここですよ〜!」
ヤケになって叫んでみたけど、洞窟内でコダマするだけで耳痛くなっちゃったよ…。
はぁ…。そんなに都合良く行かないか…。