草書
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「最近、吉良の様子はどうだ?」
「…見た目的には変わり無いですが…あたしではなんとも…。」
10番隊内で朝の挨拶代わりに交わされる会話。
「帰りに、何か持って行ってやれ。」
外見は子供なのに、こういう気配りは大人の男だ、と松本は思いながら頷いた。
「最近ずっとお酒を飲んでたみたいなんで…。和菓子でも買って行きます。」
酒はお前の差し入れだろう、とため息をついて10番隊隊長日番谷冬獅郎は窓に近づく。
「どうなっちまうんだろうな…。これから…。」
多分誰も答える事の出来ない問いかけを空に放る。
「…ギン…市丸の裏切りがここまであの子を…。」
ギリ、と刀の鞘を握りしめる音…。
そんな静寂を激しい打撃音が破った。
「すみませ〜ん!阿散井入ります!」
ドガッ!と音を立てて入って来た。さっきのはノックでなく殴り付けただろうし、今も間違い無く蹴破っただろう!と二人は心の中で突っ込んだ。
「はぁ〜?辛気くさいっすね?何かあったんすか?」
お前が無駄に元気なんだ!と言いたいのをこらえ、用件は?と冷たく言い放つ。
「いえね、珍しく吉良から集合かかったんでお誘いっすよ〜。やっとふっ切れるんすかね〜。」
ついさっきまで話題に登っていた人物なだけに、松本と日番谷は顔を見合わせた。
「集合…?何するんだ?」
「いや、何か皆で肉を食べませんか?って凄いっすよね!あの吉良から肉って!ビックリしたっすよ。」
確かに…吉良は見かけ通り好みも淡白だ。自分から肉とか言い出すような人間じゃ無かった。
「…元気に、なってきたんでしょうか…?」
少し微笑んで松本が言う。
「まぁ、いい傾向なんじゃねぇか?」
日番谷の眉間のシワも少し薄くなった。
「じゃ、伝えましたよ!俺…嬉しいんすよ。長い付き合いだけど吉良から誘われた事なんてホント2、3回位しか無くて…。しかもこんな状況の時にってのが…凄く嬉しいっす。」
満面の笑みを浮かべ、お疲れっす!と片手を上げ恋次は出ていった。
「隊長…。今日は、参加しますよね?」
「…当たり前だ。」
少しだけ明るくなった様な気のする10番隊隊舎に二人は自然と微笑んだ。