草書

□ノロケ
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「雛森く〜ん!」

向こうから相変わらず顔色の悪い吉良くんが手を振りながら近づいて来た。

「大丈夫?顔色悪いよ?」

この挨拶はもう恒例行事。吉良くんの血色のいい日なんて見たこと無いし。

「ん〜、また隊長がいなくてね…。」

ほやっとした顔で答える。これもいつもの事…。



…黙れバカップル…。おっと、キャラ変わっちゃう。我慢我慢。
「大変ね、でも市丸隊長って怖くないの?ちょっと苦手だな…。」

「そんな事無いよ、雛森くん。実はちゃんと優しいよ。」


…お前だけにな。おっと、桃危ない!落ち着いて〜!

「どんなとこ?」

「え〜…夜僕が一人で残業してたら一緒に残ってくれるし…」

…元は市丸が仕事してないからあんたが残る羽目になってるのよね?

「終わったら『おつかれさん』て一緒に帰ってくれたり…」

は…?男が一人で帰っても危険なんて無いのよ!何送り狼みたいな真似を…狐のクセに!


「たまに肩を揉んでくれたりするよ。」

…へぇぇぇ…狐、やるわね。
「そうなんだ。吉良くんには優しいんだね。」

「そんな事無いよ。隊長は皆に笑顔だし、八方美人なんじゃないかとたまに思うよ。」


…弾け飛梅ってかお前が弾けてしまえ!

「でも、市丸隊長目が笑って無いよ。」

「…閉じてるからね。でも、微笑むと子供みたいな笑顔だよ。」

…見たくねえ。
「へ〜いつか見せて貰えるかなぁ。」

「うん。結構松本さんと話してる時とか笑ってるしね。」

…あの人の悪さ全開の笑みの事か?!お前の目は節穴どころか井戸並みに大穴だ!

「へ〜気が付かなかったなぁ。」

…幸せそうに笑ってやがる…チッ…ただノロケ聞かされただけだわ、時間を無駄にしたわ。

「ゴメンね、吉良くん。もう行かなきゃ!また、ゆっくり話しようね。」

「あ、ごめんね、雛森くん。急いでたのかな?何か僕ばっかり話てごめんね…ってもういない。」

…吉良くん…いつか目を覚まさせてあげるからね!

…あたしも藍染隊長のとこ行って癒されて来ようっと。




…今日もあたしは元気です(笑)
 

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