SHORT
□catnap
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今日は珍しく彼とあたしの休みが重なった。外は暖かな陽射しが降り注ぎ、柔らかい風も時折吹く絶好のお出かけ日和。
けど、日々の肉体労働でお疲れのルッチは昼過ぎに起きてきて、窓辺の日なたで寝転んで新聞を読んでるうちにまた寝てしまった。
『…おーいルッチー』
遠慮がちに声をかけるけど、返ってきたのは静かな寝息。仰向けに寝ているルッチの顔は、さっきまで持っていた新聞で隠れてる。
ホントは夕方からでもどっかに出掛けたかったけど。
しゃーないか、疲れてるみたいだし。
ちょっと苦笑して、顔にかかった新聞を取ってやる。
鋭い光を持つ目も、今はしっかり閉じられていて、意外と長いまつげが強調されてる。
なんだかいつもと違って無防備な寝顔に思わず見とれてしまった。
なんだろ、クールというか、いつもはとっつきにくい感じのオーラも今は無くて。
『かわいいな…』
思わず零れた呟きが聞こえたのか、もしくは新聞で遮られてた日光が目に入ったのか、ルッチは少し眉をしかめてこちらに寝返りを打った。
起きるかなと思ったけど、また寝息が聞こえてくる。
もっと寝顔を眺めてたくて、あたしも隣に寝転んだ。近距離でまじまじとルッチの顔を見つめる。
こんなに顔を眺めることってあんまり無いんじゃないか。というかこんな機会があまりない。
もし今、ルッチが起きたら何て言うだろうか。眺められてることに気付いたら、照れるかな?それともニヤリとしてやらしいことしてくるかも。うん、多分後者だ。
あたしにとって幸か不幸か、ルッチが起きる気配は全く無い。
いつしかあたしも春の陽気に包まれるうちに眠気が襲ってきて。
誰もが出掛けたくなるようなお出かけ日和に、こうして家の中で二人で並んでお昼寝なんて。
ある意味最高にぜいたくなんじゃないかな。
降りていく瞼のすき間から見たルッチの寝顔は、少し微笑んでるように見えた。
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