SHORT
□Influence
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久しぶりの二人揃っての休日。
どこかに行きたいわけでもないし、家の中で過ごすことに。
…なったはずなんだけど。
『…何そわそわしてんの』
あたしが声をかけるとびくっとする金髪頭。今日は前髪下ろしてる。
「いやぁ、その、ちょっと」
『ちょっと、何よ?』
「今日はいい天気だなーって」
『ふーん、それで?』
「出かけねぇか?」
『どこに』
わかってるけどわざと聞く。
こいつがそわそわすんのは、これぐらいしかないもんね。
「だから、その、ヤガラレ『絶対嫌』
部屋は一瞬だけ静かになる。
一瞬、たった一瞬だけど、みなさん今までの会話とこの一瞬で二人の力関係がわかったでしょ?
ほらパウリーってば、情けない顔してる。
「何でだ?」
『ギャンブル全般が嫌いなの』
「でもよ、せっかくの休日だぜ?」
『そのせっかくの休日をなんでわざわざヤガラレース見に行かなきゃならないの』
「まぁそれも、一種のデートじゃねぇか」
『デートだなんて破廉恥な!』
「いやそれ俺の台詞」
『だから言ってんじゃない。いっつもデートって言ったら破廉恥破廉恥わめくくせに!自分勝手なこと言わない!』
「なっ、俺からギャンブル取ったら何が残るんだよ!」
プチンときた。何もそこまで言わなくていいじゃない?
だから彼の顔にぐっと近づいて、反射で引いた彼の肩を押さえて。
『…あたしがいるじゃん』
ほっぺにチューしただけなのに、パウリーってば真っ赤っかになってる。手の甲でほっぺた押さえて。
「…そうでした」
ほら、やっぱりあたしの方が上でしょ?
影響力
(ギャンブルは大嫌いだけど、あんたは大好き)
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あたし的にパウさんには前髪下ろしてほしい。(知るか)