LONG

□chapter.1
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部屋の明かりを点ける。
落ちている雑誌を踏み、たった一つある窓のカーテンを引く。



一瞬窓に映ったあたしの顔は、全くの無表情。





『…疲れた』



毎日この台詞を吐いている気がする。
こっちに来て2年経とうとするが、楽しいことも嬉しいこともあまりなかった。

地元の大学に行けばよかったな。とにかく早く大学卒業して、適当に会社入って。


それからどうしよう。


これから先いいことなんかあるのかな。



『はあーあ…』


ベットに倒れ込んでため息をつく。
このまま布団に沈み込んだら服がしわくちゃになるし、顔が化粧でドロドロになっちゃう。
頭ではわかっているが疲れ果てた体は全く言うことを聞かない。


頭も体に従って、すうっと意識が遠のいていく。
ぼんやりした頭で考えたのは、突拍子もないこと。


このまま、別世界にでも行きたいな。


こういうのを現実逃避って言うんだ、と自分で自分を嘲笑った。
それでも頭の中ではどんどん妄想が膨らんでいく。


別世界なら、どこに行きたいかな。
物騒な所は嫌だから、高校生の時に読んだ魔法の世界とかかな。
あーでも結局あの世界も段々危なくなるんだっけ。


思えば本やマンガの世界はぜーんぶ物騒だなぁ…
だったらこのままずっと眠れたらいいや。



























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