NOVEL

□オウマ物語
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【第一話 運命】

僕らは知り合った。

南坂中央病院の同じ病室で。
僕の名前は日神 晃(ひがみ あきら)小学6年生だ。
僕は生まれつき体が弱く、昔からよくこの病院にお世話になっていた。
そして、学校にはあまり行けないから友達もいない。
遊ぶ相手なんていない、だからいつも同じ病室にいる老人達とお喋りしてる。
今じゃ、将棋や囲碁だって分かる。
そんな僕の前に運命の女神、と言っても可笑しくない自分と同じく体が弱い女の子が同じ部屋で今日から過ごす事になったんだ。

彼女の名前を看護婦さんに聞いた。
遠出 月神(とおで つぐら)ちゃんって名前なんだって。
僕と同じ小学6年生、そして僕と同じ病気で今日から入院するんだって。
何か雰囲気まで僕に似てて、なんだかほっとけなかったんだ。
きっとこの子も、最初の頃の僕と同じように友達もいなく、話す相手もいない孤独な状況だから。
気づいたら僕は、彼女に声をかけていた。意外にも僕は結構行動派のようだ。

「つぐらちゃんだっけ?これから宜しくね」
少女は最初俯きがちだったけど、彼女も悟ったのか、僕が似ていると。小さな声で宜しくと聞こえた気がする。
同じ部屋のお年寄りの人が笑いながら僕らを見ている。
遠くからは、同じ年頃の話し相手ができてよかったのぉ、など聞こえる。
たしかに、自分と同じ年の子と話すのは初めてだ、これからこの子を最初の友達として僕は大切にしたいと思った。
それが、この話の始まりだった。
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