silver2

□願い
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俺はお前を止める術を知らないし、知っていても、そんなことをする気にはなれない。

お前はとても真っ直ぐだから。

お前の瞳には、お前の描く世界が常に移っていて、お前の腕はその世界を切り開くため、お前の脚はその世界に辿り着くためにあることを、俺は知っているから。



だから俺が出来ることなんて、限られてる。









毎晩毎晩、俺はお前の身を案じる。
そして、画面の中のキャスターの口から、お前の名前が出ないこと、機械的に印刷された紙面に、お前の名前が載らないこと、それを確認しないと、夜も眠れなくなってしまっている俺は、もはや病気なんだろう。








俺がこんなことをしてることを知ったら、ヅラぁ、お前はどんな顔するんだろうな?






「お前が案じる事など何も無い。だから銀時、お前は其処で待っていてくれ、いつか俺は、お前の元に帰るから。」








攘夷行動に口を出したとき、あいつが言った言葉を思い出す。
あいつは昔っから、残酷な奴だ。
相手を傷つけないために、平気で嘘をつき、相手の欲しがる言葉を口にする。
それが相手をどれだけ苦しめているかも知らず、あいつの優しさがどれだけ罪深いものか知らず。








「なぁヅラぁ・・・俺には高杉よりも、お前のほうが遠く感じて仕方ねぇんだ。」









俺は今宵も願う。
明日もまた、お前が無事なように。








終末


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