「花見に行こうぜ!」



部屋で繕い物をしていたら、ドタドタと騒がしい足音

何事かと思いきや、冒頭の言葉を言いながら平助君が部屋の襖を勢い良く開け放った



次いで「邪魔するぜ」なんて言いながら部屋に入って来る原田さん、永倉さん





「…き、急ですね」

ただただ吃驚して、そんな言葉しか言えない私

原田さんは苦笑して、弁解する様に口を開いた



「昨日巡察に出たら、桜が満開でな」

「左之さんからそれ聞いたら、なんか花見したくなっちまって」

「桜に女に旨い酒…これが春の醍醐味だろ?」

「女は新八っつぁんだけだろ」

「うるせぇ、平助!じゃあお前はこの子が居なくてもいいのかよ」

「そんな事は言ってねぇだろ!」



三人の会話のテンポのなんと良い事…圧倒されて、口を開く隙もない

でも、私の口元にはしっかりと笑みが浮かんだ



そんな些細な事にも気付いてくれたのは、気配り上手の原田さんで

彼も、微笑む



「悪いな、煩くて。お前さえ良ければ一緒に花見に行かないか?」

「行きたいですけど…私、土方さんに黙って行ったら怒られないですか?」

「そんな心配するんじゃねぇよ。俺等が一緒なんだ、大丈夫だろ」

「どうせなら土方さん達も誘って皆で行けばいいんじゃねぇの?」

「だな。だからお前は安心して、旨い飯でも作って準備してろ」

『はい!』



嬉しくて、嬉しくて

私は足早に

勝手場へと向かったのだった







まだまだ続く








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