短編
□永倉新八という男
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何なんだ?
今日は皆、俺への態度がおかしくねぇか?
「今日も朝から、隣のご飯突撃だぜ!!」
いつもの勢いで、嫌がるの平助からおかずを盗ろうと箸をのばす
抵抗するだろうと思ってたら…平助の奴、チラリと俺を見て
「…好きなの、一つだけならあげてもいいぜ」
…………
………………
……………………
「へ、へ、へ、平助…?熱でもあんのか?」
いや、本気で
そう言った俺は、かなり変な顔をしてたらしい
俺の顔を見た平助は、途端にムスッとして
「やっぱ、やらね-!」
と言って俺からおかずを守る様にしながら、飯を食い始める
……それでこそいつもの平助だ
俺は少しの猜疑心を持ちながらも
平助は平助だという事に安心して、飯にありつこうとした
「…ならば、俺の取って置きの卵焼きをやろう…」
さっきの平助とのやり取りで、おかずを盗り損ねた俺への情けか?
そう思いながら、俺の向かい側に座る奴を見やる
「…………」
いや、いや、いや、いや!!
そんな泣きそうな顔しながら卵焼きを差し出すなよ、斎藤ッ!!
そんなに食いたいなら、自分で食えよッ!!
いや、ありゃ斎藤なりの好意なのか?
俺は苦悩の末に
「い、いや…俺はいいから、自分で食え。な、斎藤…」
と言う
「…そうか」
瞬間、パッと明るくなる斎藤
平助に続いて斎藤まで…!
一体どうなっちまったんだ…?
俺は急いで飯を平らげ、逃げる様に広間から抜け出した