短編
□三つの贈り物
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「なぁなぁ!〈くりすます〉って何?」
会議が終わるなり、俺はあいつの処に駆け寄った
『いきなりどうしたの?あ、原田さんから聞いたの?』
「あ-…うん、そうなんだけどさ」
『…?』
言いにくそうにどもると、キョトンとして俺を見上げてくる
「…その…〈くりすます〉って日、お前の誕生日なのか?」
『…へ?』
意を決して尋ねた俺にこいつは一瞬呆けた後、盛大に笑いやがった
『違う違う!クリスマスっていうのはね、何て説明したらいいのかなぁ…お祭り?みたいなものなの』
「祭り?」
『うん!いい子にしてるとね、12月24日の真夜中にサンタクロースっていうお爺さんが枕元に贈り物を置いていってくれるの』
誕生日じゃねぇのか…
ホッとしたのと同時に、疑問が湧いて出てくる
「さんた、くろぉすの爺さん…?お前の祖父かなんかなのか?」
『ううん。サンタさんは御伽噺みたいなものなの』
だから本当はサンタさんなんて、居ないのわかってるんだけどね
そういって笑ったあいつ
なんだか少し寂しそうに笑うから
「その〈さんた〉って奴、絶対居るって!だから〈くりすます〉とかいう日まで、悪いことしないで待ってろよな!!」
俺がそう言ってやると、あいつは
『平助君じゃないんだから、そんな事しないよ』
って言って笑ったんだ