短編
□貴方の好きなもの
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『沖田さん!誕生日おめでとうございます!!』
夜に僕の部屋を訪れた君がそう言って、今日は誕生日だった事を思い出す
君が覚えていてくれたことが嬉しくて、僕は顔を綻ばせながらお礼を言う
「ありがとう」
『これ、私からのお祝いです!』
そう言った君が勢い良く差し出したのは、数枚の紙切れ
〈肩叩き券〉
紙にはそう書かれてあった
僕は君のおじいちゃんじゃないんだけどなぁ…
呆れが顔に出ちゃったのか、君は焦った様に紙切れを捲る
『か、肩叩きだけじゃないですよ!お手伝い券とか…ほら、何でも券もあります!!』
必死な君に笑いが込み上げてくる
『い、要らないならあげません!』
ふてくされた様にそっぽを向く君
そんな姿まで、可愛らしくて仕方ない
「そんな事言ってません。君がくれるものなら喜んで貰うよ?」
そう言うと、はにかみながら君は僕に紙束を差し出したんだ
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