短編
□永倉新八という男
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人目を避ける様に過ごして、時はそろそろ夕刻にやろうとしていた
「…こんな処で何してるんですか、新八さん?」
ふいに声を掛けられて振り向く
そこには大きな荷物を抱えた総司と千鶴ちゃんの姿があった
此奴等は普通なのかもしれない
俺は嬉しくなって、二人に抱きつこうとした
----…が、
ゲシッ
近付こうとしたら、総司の蹴りが飛んできた
「な、何しやがる!?」
「何って…こっちが訊きたいですよ。何抱きつこうとしてるんですか、気色悪いなぁ…」
い つ も の 総 司 だ !
なのにすげぇ傷付いたぞ、今…
「沖田さん!!」
諫める様に千鶴ちゃんが総司の名前を呼ぶと、総司は拗ねた様な顔をした
「永倉さん、すみません。私と沖田さん、この荷物を運ばなくちゃいけないので失礼しますね」
そういってペコリとお辞儀をする千鶴ちゃん
「構わねぇけどよ。そのでけぇ荷物、何入ってんだ?」
「えッ?あの、その…」
ずっと気になってた事を訊いたら、急に焦り始める千鶴ちゃん
こりゃ、何かあるぜ…!
俺はにやりと笑った
「教えくれたっていいじゃねぇか、なぁ?」
「え-と…」
「な、いいだろ?」
俺が一歩近づけば、一歩退く
じりじりと追い詰めると
ポン
後ろから肩に手を置かれる
振り向くとそこには、爽やかな笑みを浮かべた総司がいた!!
「……悪い…」
----…本気で怖ぇ…!
普通に謝っちまった!!
総司が爽やかな笑みとか…やっぱり総司もおかしくなっちまったのか?
青ざめてプルプルと震える俺を、総司の奴は軽く流して
「さ、行くよ」
と言って、千鶴ちゃんを連れて去って行った
一体、何だってんだ?