短編

□永倉新八という男
3ページ/4ページ






人目を避ける様に過ごして、時はそろそろ夕刻にやろうとしていた



「…こんな処で何してるんですか、新八さん?」


ふいに声を掛けられて振り向く

そこには大きな荷物を抱えた総司と千鶴ちゃんの姿があった





此奴等は普通なのかもしれない



俺は嬉しくなって、二人に抱きつこうとした

----…が、




ゲシッ

近付こうとしたら、総司の蹴りが飛んできた



「な、何しやがる!?」

「何って…こっちが訊きたいですよ。何抱きつこうとしてるんですか、気色悪いなぁ…」





い つ も の 総 司 だ !


なのにすげぇ傷付いたぞ、今…



「沖田さん!!」

諫める様に千鶴ちゃんが総司の名前を呼ぶと、総司は拗ねた様な顔をした


「永倉さん、すみません。私と沖田さん、この荷物を運ばなくちゃいけないので失礼しますね」

そういってペコリとお辞儀をする千鶴ちゃん


「構わねぇけどよ。そのでけぇ荷物、何入ってんだ?」

「えッ?あの、その…」


ずっと気になってた事を訊いたら、急に焦り始める千鶴ちゃん

こりゃ、何かあるぜ…!


俺はにやりと笑った



「教えくれたっていいじゃねぇか、なぁ?」

「え-と…」

「な、いいだろ?」


俺が一歩近づけば、一歩退く



じりじりと追い詰めると


ポン

後ろから肩に手を置かれる



振り向くとそこには、爽やかな笑みを浮かべた総司がいた!!





「……悪い…」

----…本気で怖ぇ…!

普通に謝っちまった!!



総司が爽やかな笑みとか…やっぱり総司もおかしくなっちまったのか?


青ざめてプルプルと震える俺を、総司の奴は軽く流して

「さ、行くよ」

と言って、千鶴ちゃんを連れて去って行った





一体、何だってんだ?



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ