短編
□永倉新八という男
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…よし、こんな日は島原に行くに限る!!昼間だろうが関係ねぇ!!
「左之、島原に行くぞ!」
いつもの様に、左之に声を掛ける
「お、おぉ…じ、じゃあ今日は俺が奢ってやるよ」
左之は奢ってくれる事がよくあるからな…
だけど、なんだ!!
その顔はッ!?
左之の奴、隠し事とか嘘が苦手だからな…思いっ切り顔に出てやがる!!
平助、斉藤に続いてお前もおかしいのか!?左之ッ!!
いやいや、でもよ
折角奢るって言ってんだ、ここで断ったら男が廃るよな!!
俺様は寛大だから、ここは受け入れるべきだろ?
「お、お-!そうか、そうか!!じゃあ、早速島原に行くとするか」
「…島原、だぁ?」
葛藤の末に言った言葉、だが返ってきた声は左之のもんじゃなくて
「ひ、土方さん!?」
廊下の角から姿を現したのは鬼の副長、土方さんだった
まずい!まずいぞッ!!
真っ昼間っから島原に行くのがバレたとなりゃ…くそッ!!恐ろしすぎて想像も出来やしねぇ!!
仕方ねぇ、俺も男だ
腹括るか
そう思って、土方さんの方へと向き直る
「島原か…まぁ、なんだ…たまには休養も必要だよな」
………
………………
………………………
ぞわッ
うお!鳥肌立ったぞ、今ッ!!
土方さんが優しいとか、ありえねぇ…幻覚だ、これは幻覚だ!!
目を覚ませ、俺ッ!!
俺は目を瞑ってバチンッと頬を叩いてから、恐る恐る目を開けた
「?…行かねぇのか?島原」
伯カ覚じゃねぇッ!!
「い、行かねぇ…」
俺は呆然と呟いて、その恐怖から逃げ出した